レンズレビュー 〜 X-T1とCarl Zeiss Distagon 35mm f2.8〜
レンズレビュー
CarlZeiss Distagon 35mm f2.8
最近はほぼFujifilmのX-T1を持ち出すのですが、センサーがAPS-Cなので、(センサーサイズの話はここでは割愛します)スナップやポートレート用に35mm換算で50mmの標準画角になる35mmのレンズが欲しいなと思っていました。
中古カメラ店で中古並品としてとても安く手に入れることが出来たレンズ、CarlZeiss Distagon 35mm F2.8を僕なりの視点での使用感などを書きたいと思います。
このレンズ、フィルム時代の1990年代初頭に生産されたレンズなのですが、写りや発色なんかは充分現在の高級レンズにも引けをとらない写りをします。
写りなんか見てるとオールドレンズとは言えないですね。
写りそのものは少し硬めな印象。
ボケもトロトロ〜っととろけるようなボケではなくて、滲むようにさりげなくボケます。
あと、このレンズは寄れないのですが、自分はX-T1につけて50mm付近の標準画角のレンズとして使用しているので最短撮影距離が40cmというのはあまり気になりません。
nikkorの50mmや同じカールツァイスのPlanar50mmなんかは最短撮影距離が45cmなのでちょっとだけ寄れるようになった感覚ですね。
自分の場合、寄って背景をぼかしきるような撮影方法をしないのでこれだけ寄れればむしろ充分で、気になった事がありません。
最短撮影距離が40cmであること、解放F値が2.8であることでボケすぎず、被写体を適度に浮き立たせる位に背景がボケてくれます。
被写体を引き立てながら背景の様子もわかるように撮ることが多いのですが、このバランスがちょうどよいですね。
写真の立体感が素晴らしく、撮った絵を見てドキッとすることも多いです。
ハイライトやシャドウ部もよく粘るのでRAW現像時にも普通なら残らないであろう情報がちゃんと起き上がってきます。
自分は普段F4を基準にそれより絞るか、開けるかをその時々で絞りを変えるのですが、このレンズ、F4の時だけ絞り羽根が手裏剣形になるので使えません。
なので人や動物、植物なんかを撮るときはF2.8解放で、スナップの時はF5.6かF8で使っています。
とはいえ驚くのが絞り解放の時の写り。
人なら髪の毛一本一本まで写しながら硬く写りすぎないので、あまりレンズを解放で使わない自分でもこのレンズを使う時だけは積極的に解放を使いたくなります。
多分35mmという画角と2.8という解放値、F4での絞り羽根形状が手裏剣形になることを思うとF8〜F11でガチガチに撮った方がこのレンズの良さが生きてくるんだと思います。
カタログスペック的には地味で、あまり人気が無いのか中古カメラ屋さんで20,000円前後で手に入れることが出来るこのレンズ。
長く写真をやっている方や相当な数のレンズを持っている方々に言わせるとなんて事はないレンズなのかもしれません。
カタログスペックで見るのではなく、それが撮っていて楽しいレンズか、撮った写真に自分が納得出来る写りをするレンズかの方が重要だと思うので、カタログスペックに惑わされずに皆にレンズを選んで欲しいなと思います。
たとえ安いレンズでも自分はこのレンズが好きだから使ってますと言えるのが幸せですね。
あまり人気のないこのレンズですが僕は自信を持って好きだと言える、そんなレンズです。